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プロパティ

最終更新日: 2020年4月17日

このページは、コンポーネントの基本を読んでいることを前提としています。はじめてコンポーネントについて読む場合は、まずはそちらをお読みください。

プロパティの形式 (キャメルケース vs ケバブケース)

HTML の属性名は大文字小文字を区別せず、ブラウザは全ての大文字を小文字として解釈します。つまりは、 DOM(HTML) のテンプレート内においては、キャメルケースのプロパティはケバブケース(ハイフンで区切ったもの)を使用する必要があります。

Vue.component('blog-post', {
  // JavaScript 内ではキャメルケース
  props: ['postTitle'],
  template: '<h3>{{ postTitle }}</h3>'
})
<!-- HTML 内ではケバブケース -->
<blog-post post-title="hello!"></blog-post>

文字列テンプレートを利用している場合は、この制限は適用されません。

プロパティの型

ここまでは、プロパティを文字列の配列として列挙してきました。

props: ['title', 'likes', 'isPublished', 'commentIds', 'author']

しかしながら、通常はプロパティの値が特定の型になることを期待するでしょう。そのような場合、プロパティをオブジェクトとして列挙することができます。このオブジェクトのキーと値には、それぞれプロパティ名と型を設定します:

props: {
  title: String,
  likes: Number,
  isPublished: Boolean,
  commentIds: Array,
  author: Object,
  callback: Function,
  contactsPromise: Promise // or any other constructor
}

こうすることでコンポーネントの説明になるだけでなく、間違った型を渡した場合に、ブラウザの JavaScript コンソールにて警告をします。詳しくはこのページの下にあるtype checks and other prop validations にて説明します。

静的あるいは動的なプロパティの受け渡し

これまでは、このような形でプロパティが静的な値を渡しているところも見てきましたが:

<blog-post title="My journey with Vue"></blog-post>

次のような v-bind で動的に割り当てられたプロパティも見てきました:

<!-- 変数の値を動的に割り当てます -->
<blog-post v-bind:title="post.title"></blog-post>

<!-- 複数の変数を合成した値を動的に割り当てます -->
<blog-post
  v-bind:title="post.title + ' by ' + post.author.name"
></blog-post>

上の 2 つの例では文字列の値を渡していますが、プロパティには 任意の 型の値を渡すことが可能です。

数値の受け渡し

<!-- `42` は静的な値ですが、これが文字列ではなく JavaScript の式だと -->
<!-- Vue に伝えるには v-bind を使う必要があります。 -->
<blog-post v-bind:likes="42"></blog-post>

<!-- 変数の値を動的に割り当てています。 -->
<blog-post v-bind:likes="post.likes"></blog-post>

真偽値の受け渡し

<!-- 値のないプロパティは、 `true` を意味することとなります。 -->
<blog-post is-published></blog-post>

<!-- `false` は静的な値ですが、これが文字列ではなく JavaScript の式だと -->
<!-- Vue に伝えるには、 v-bind を使う必要があります。 -->
<blog-post v-bind:is-published="false"></blog-post>

<!-- 変数の値を動的に割り当てています。 -->
<blog-post v-bind:is-published="post.isPublished"></blog-post>

配列の受け渡し

<!-- この配列は静的ですが、これが文字列ではなく JavaScript の式だと -->
<!-- Vue に伝えるには、 v-bind を使う必要があります。 -->
<blog-post v-bind:comment-ids="[234, 266, 273]"></blog-post>

<!-- 変数の値を動的に割り当てています。 -->
<blog-post v-bind:comment-ids="post.commentIds"></blog-post>

オブジェクトの受け渡し

<!-- このオブジェクトは静的ですが、これが文字列ではなく JavaScript の式だと -->
<!-- Vue に伝えるには、 v-bind を使う必要があります。 -->
<blog-post
  v-bind:author="{
    name: 'Veronica',
    company: 'Veridian Dynamics'
  }"
></blog-post>

<!-- 変数の値を動的に割り当てています。 -->
<blog-post v-bind:author="post.author"></blog-post>

オブジェクトのプロパティの受け渡し

オブジェクトの全てのプロパティをコンポーネントのプロパティ(props)として渡したい場合は、v-bind を引数無しで使うことができます(v-bind:prop-name の代わりに v-bind を使用)。 例えば、 post オブジェクトの場合:

post: {
  id: 1,
  title: 'My Journey with Vue'
}

次のテンプレートは:

<blog-post v-bind="post"></blog-post>

以下と同等となります:

<blog-post
  v-bind:id="post.id"
  v-bind:title="post.title"
></blog-post>

単方向のデータフロー

全てのプロパティは、子プロパティと親プロパティの間に 単方向のバインディング を形成します: 親のプロパティが更新されると子へと流れ落ちていきますが、逆向きにデータが流れることはありません。これによって、子コンポーネントが誤って親の状態を変更すること(アプリのデータフローを理解しづらくすることがあります)を防ぎます。

また、親コンポーネントが更新されるたびに、子コンポーネント内の全てのプロパティが最新の値へと更新されます。これは、子コンポーネント内でプロパティの値を変化させては いけない ことを意味しています。それを行った場合、 Vue は コンソールにて警告します。

プロパティの値を変化させたい場合は主に 2 つあります:

  1. プロパティを初期値として受け渡し、子コンポーネントにてローカルのデータとして後で利用したいと考える場合。 この場合、プロパティの値をローカルの data の初期値として定義することを推奨します:

    props: ['initialCounter'],
    data: function () {
      return {
        counter: this.initialCounter
      }
    }
  2. プロパティを未加工の値として渡す場合。 この場合、プロパティの値を使用した算出プロパティを別途定義することを推奨します:

    props: ['size'],
    computed: {
      normalizedSize: function () {
        return this.size.trim().toLowerCase()
      }
    }

JavaScript のオブジェクトと配列は、参照渡しされることに注意してください。参照として渡されるため、子コンポーネント内で配列やオブジェクトを変更すると、 親の状態へと影響します。

プロパティのバリデーション

コンポーネントはプロパティに対して、上で見たように型などの要件を指定することができます。もし指定した要件が満たされない場合、 Vue はブラウザの JavaScript コンソールにて警告します。これは、他の人が利用することを意図したコンポーネントを開発する場合に、特に便利です。

プロパティのバリデーションは、文字列の配列の代わりに、 props の値についてのバリデーション要件をもったオブジェクトを渡すことで指定できます。 例えば以下のようなものです:

Vue.component('my-component', {
  props: {
    // 基本的な型の検査 (`null` と `undefined` は全てのバリデーションにパスします)
    propA: Number,
    // 複数の型の許容
    propB: [String, Number],
    // 文字列型を必須で要求する
    propC: {
      type: String,
      required: true
    },
    // デフォルト値つきの数値型
    propD: {
      type: Number,
      default: 100
    },
    // デフォルト値つきのオブジェクト型
    propE: {
      type: Object,
      // オブジェクトもしくは配列のデフォルト値は
      // 必ずそれを生み出すための関数を返す必要があります。
      default: function () {
        return { message: 'hello' }
      }
    },
    // カスタマイズしたバリデーション関数
    propF: {
      validator: function (value) {
        // プロパティの値は、必ずいずれかの文字列でなければならない
        return ['success', 'warning', 'danger'].indexOf(value) !== -1
      }
    }
  }
})

プロパティのバリデーションが失敗した場合、 Vue はコンソールにて警告します (開発用ビルドを利用しているとき)。

プロパティのバリデーションはコンポーネントのインスタンスが生成される に行われるため、インスタンスのプロパティ (例えば data, computed など) を dafault および validator 関数の中で利用することはできません。

型の検査

type は、次のネイティブコンストラクタのいずれかです:

さらに、 type にはカスタムコンストラクタ関数をとることもでき、 instanceof によるアサーションが行われます。例えば、以下のコンストラクタ関数が存在すると仮定したとき:

function Person (firstName, lastName) {
  this.firstName = firstName
  this.lastName = lastName
}

このように利用することができます:

Vue.component('blog-post', {
  props: {
    author: Person
  }
})

上の例では、 author プロパティの値が new Person によって作成されたものかどうか検証されます。

プロパティでない属性

プロパティでない属性とは、コンポーネントに渡された属性のうち、対応するプロパティが定義されていないもののことです。

子コンポーネントへ情報を受け渡すという用途を考えると、プロパティは明示的に定義されることが好ましいですが、コンポーネントライブラリの作成者は、コンポーネントが使用されうるコンテキストを必ずしも把握できるわけではありません。そのため、コンポーネントは任意の属性を受け入れられるようになっています。受け入れた属性はコンポーネントのルート要素に追加されます。

例えば、サードパーティの bootstrap-date-input コンポーネントと、 inputdata-date-picker 属性を要求する Bootstrap プラグインを使っているとします。その場合、その属性をコンポーネントのインスタンスに追加できます:

<bootstrap-date-input data-date-picker="activated"></bootstrap-date-input>

すると、data-date-picker="activated" 属性は自動的に bootstrap-date-input のルート要素に追加されます。

既存の属性への置換とマージ

これが bootstrap-date-input 側のテンプレートとします:

<input type="date" class="form-control">

この日付プラグインのテーマを指定するには、以下のような特定のクラスを追加する必要があります:

<bootstrap-date-input
  data-date-picker="activated"
  class="date-picker-theme-dark"
></bootstrap-date-input>

上の例では、クラスに2つの異なる値が定義されています:

ほとんどの属性においては、コンポーネント側の値が、コンポーネントに受け渡された値へと置換されます。たとえば、 type="text" を渡すと、 type="date" は置き換えられ、そして壊れてしまうでしょう!幸運なことに、 class および style 属性は少しスマートに作られていますので、両方の値がマージされ、最終的な値は form-control date-picker-theme-dark となります。

属性の継承の無効化

コンポーネントのルート要素に対して、属性を継承させたく ない 場合は、コンポーネントのオプション内にて inheritAttrs: false を設定できます。例:

Vue.component('my-component', {
  inheritAttrs: false,
  // ...
})

これは、 コンポーネントの $attrs インスタンスプロパティと組み合わせる時に特に便利です。 $attrs は、コンポーネントに渡される属性名およびその値が含まれています :

{
  required: true,
  placeholder: 'Enter your username'
}

inheritAttrs: false$attrs を併用すると、どの要素に属性を送るかを手動で決定することができます。これは多くの場合、 基底コンポーネント にとって望ましい方法です:

Vue.component('base-input', {
  inheritAttrs: false,
  props: ['label', 'value'],
  template: `
    <label>
      {{ label }}
      <input
        v-bind="$attrs"
        v-bind:value="value"
        v-on:input="$emit('input', $event.target.value)"
      >
    </label>
  `
})

inheritAttrs: false オプションは、style および class 属性のバインディングには影響 しない ことに注意してください。

このパターンを使用すると、コンポーネントのルート要素が何か気にすることなく、生の HTML 要素のように基底コンポーネントを利用できます。

<base-input
  label="Username:"
  v-model="username"
  required
  placeholder="Enter your username"
></base-input>